1923年大正12年、関東大震災の年の作品。日本推理小説のさきがけといわれている作品。今読んでも色あせていないことに驚く。「東西ミステリーベスト100」でも堂々の24位にランクインしている。シンプルで理路整然とすっきりしていて清々しい。推理小説として優れているだけでなく、日本文学100年の名作として選ばれているのには理由がある。大正時代の暮らしや社会の風情が表現豊かに描かれている。時代が持つ重苦しさや生きづらさみたいなものは、今にも通じるものがある。そんな中でも、滑稽で明るくたくましく生きる姿に励まされる。


