夢の物語
『件』は一連の夢物語『冥途』の中のひとつ。6000字余りと短い。「件」という文字通り、からだが牛で顔が人という化け物になってしまった私の話。
内田百閒は掌編「老猫」を夏目漱石に送り、返信を得、後に漱石門下の一員になった。『冥途』は漱石の『夢十夜』を習ったものかも。
夢はほとんど忘れてしまうからいいようなものの、突拍子もない世界が現れる。この話を読んで、子どもの頃、頭が犬でからだがアオムシという気味が悪い生き物に追いかけられた夢を思い出した。アオムシの鮮やかなビロード調の黄緑色がいやにリアルだったことが忘れられない。



