読書ガイドブックが好き
読書好きあるあるではないかと勝手に思っている。ひまさえあれば読書のガイドブックを眺めて読んだ気になっている。「芥川賞ぜんぶ読む」はお気に入りガイドの一冊。芥川賞作家と受賞作品の確認に重宝している。
自慢ではないが作品のほとんどは読んだことがない。芥川賞は短篇とまではいかないまでもそう長くない。ああこの人も芥川賞作家なんだと知るのがうれしい。縁があればぜひ読んでみたいと常々思いながらこのガイドブックでお茶を濁している。
余談だが、この「芥川賞ぜんぶ読む」は古本を購入した。鉛筆で書き込みがある。そういう古本はいつもなら避ける。古本独特のにおいも気になる。しかし古本ですらなかなか入手しにくかったのだと思う。ところが小さく整った字で「読んだ」「読んでみたい」「好き」「おもしろいけど5年後読んだらどうか」「特に好きなのはチェック」などと、ところどころ控えめに書いてあって何だか親しみを感じてしまい、そのまま消さないでいる。
1935年の第一回受賞作品から2018年の第160回受賞作品、84年間180作品が掲載されている。著者である菊池良が選んだ昭和受賞作ベスト20は錚々たる作家の作品である。なのにこれまで読む機会がなかった。素晴らしい作品はいっぱいあるのに生涯読む本は限られている。作品との出会いはつくづくご縁だと思う。
芥川賞作品の傾向を分析している読み物がおもしろい。傾向とまではいかないが、「若者の享楽系」「老年の境地系」「海外の孤独系」といった分類は興味深い。ガイドによると芥川賞作品は、その当時の時代感あふれる新しいものと、いつ読んでも新しい普遍的なものの両方あるようだ。受賞作品以外の作品がなかったり、書かなくなった異業種の作家も少なくないが、その後も活躍し続ける有名作家もやはり多い。また芥川賞作家の受賞年齢は、個人的に知りたいデータだったのでよかった。
